【大人の発達障害】なぜ社会人になってからADHDに気づくのか

ADHDな公務員
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エディコ
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お世話になっております。
エディコです。

今回は、いわゆる「大人の発達障害」はなぜ社会人になってから気づくことが多いのかについて考えてみたいと思います。
私のTwitterでも、ADHDグレーの方、つまり社会人になってから自身が発達障害ではないかと疑い始めた方からの相談などが多い傾向にあります。

こんな人に読んでほしい

✔社会人になってからADHDに気づいた
✔ADHDで仕事を続けていく自信がない

学生時代と社会人の違い

理由として、もっとも大きいのが学生時代とのギャップでしょうか。
学生と社会人では、環境や求められるものが大きく変化します。

環境の変化

幼いころにADHDの特徴が見られたとしても、それは子どもであるが故、成長の過程として捉えられることが多いです。
例えば、忘れ物が多かったり、落ち着きがない、指示通りに動けない場合でも、保護者や先生は育児・指導の難しさや、少し変わった子だなと感じる程度にとどまります。
すぐに「あなたは発達障害の疑いがあります。心療内科で診察を」という決断は憚られます。
慎重にしばらくは様子を見るという対応になることがほとんどでしょう。

それゆえ、相談機関や医療機関を訪れることなく、診断や支援を受ける機会を得ずに青年期や成人期を迎えることが多いのではないでしょうかもあります。

求められるものの変化

就職してからは、環境は一変し、求められる一つ一つの水準や質が変化します。
例えば、学生時代は遅刻したとしても、少し叱られ、頻度が多ければ保護者に連絡が行く程度です。
さらに言えば、高校生・大学生と学齢があがるのと反比例し、遅刻に対する非難のされ方は甘く、ゆるくなっていきます。
しかし、社会人になってからは、ただの一回の遅刻が大問題になることもあります。
遅刻は一例で、特に公務員には生活態度一つ一つが高水準であることが内外から求められます。

仕事は及第点では認められない

また、学生時代は赤点など及第点よりも1点でも多くとれていれば、落第などを免れていましたが、社会人になってから作る書類・資料は赤点より1点多い程度では通用しません。
役所仕事では、書類・資料のデータの見せ方やデザインのセンスなど、明文化できないクオリティを徹底的に求められることはあまりありません。
その反面、書類の言葉遣いやスペースの入れる数、文字の大きさのポイントまできっちり決められています。
意味が伝わればそんな体裁はどうでもいいじゃないかという私の個人的なボヤキは置いといて、法律でガンジガラメな公務員の事務では作成する書類は限りなく100点である必要があります。

優先順位とマルチタスク

加えて、仕事というものは一つ書類を作ったら終わりというものではありません。
たいていの場合は、「ルーティンワーク」や「名もなき事務」も含めた多岐に渡る複数の業務を優先順位をつけながら同時並行で進めていかなければなりません。
学生時代のように、「この曜日の時間は数学」みたいにやることが決められておらず、柔軟に取り組める反面、マルチタスクの管理能力が求められます。
その上、当然ですが取りこぼしは許されません。

複雑な人間関係

そして、一番の違いは人間関係でしょう。
学生時代は、誰と仲良くするかはある程度自分の意志で決めることができました。
しかし、社会人になってからは、好き嫌いで人間関係を選ぶことはできません。
利害関係が複雑に絡み合う人間関係で、時には打算、時には保身も考えながら、たとえ目の前にいる相手が気に入らなかったとしても、相手を立てることが求められます。
相手の懐に入り込むのが上手いタイプのADHDもいます。
しかし多くは、心情や空気を読むのが苦手で、衝動的・ストレートな言動も相まって悪目立ちします。
社会に出てから発達障害が一番顕在化するポイントは人間関係であると断言します。

うつ病を発症することで気づく?

大人の発達障害に気づくきっかけは、うつ病などの二次障害の発症によるものが多いと言われます。
私も自身のADHDに気づいたのは、うつ病で精神科医を受診したときでした。
なぜ、二次障害がきっかけになりやすいのでしょうか?

ADHDは努力家が多い

私の感覚的なものですが、ADHDには努力家が多いです。
子どもの頃から、「やればできる」などの声をかけられ、自分でも「なぜ自分だけできない」「できないのは努力が足りないから」と思い込んでしまいます。
その結果、脳の構造的にどうしても苦手なことを克服していたり、苦手な人間関係に対する処世術を編み出していたりします。
また、過集中傾向もそれを助長しているでしょう。

特に大人になるまでADHDに気づいていない人にこの傾向は強いと思います。

疲弊する社会人ADHD

学生時代の自主学習では、時間を決めて、またはここまでやったら今日の分は終わりと、自分の裁量で終点を決めることができました。
しかし、仕事となると、やらなければならないことにキリがなく、そうはいきません。
ここで、持ち前の頑張りや過集中が顔を出し、無自覚のままに疲弊してしまいます。
一生懸命努力しても、不注意によるケアレスミスがその仕事の評価を下げてしまうのが公務員の仕事です。
学生時代と違い、努力は評価の対象になりにくいのが社会人全般の定めです。
結果の出ない努力の積み重ね、うまくいかない人間関係の軋轢は、多大なストレスになり、疲労がさらに蓄積する悪循環を呼びます。

二次障害としての「うつ病」

ADHDの人は、不注意を防ごうという意識、人間関係に必要以上に気を遣う、過集中などの理由により、定型発達の人に比べ、はるかに脳を酷使していると言われています。
本人は自覚しないまま疲労困憊の状態になり、ぼーっとしたり、居眠りしてしまうこともあります。
さらに疲労が蓄積すると、

  • 眠れない
  • 食欲がない
  • 何もやる気がしない
  • 朝起きられない
  • 仕事に行けない

などの症状を発症します。
これらはうつ病の症状であり、大人のADHDに多い二次障害とも言われています。

うつ病発症が受診のきっかけになってしまう

私もそうだったのですが社会人は、うつ症状をきっかけに精神科医を受診し、ADHDに気づくことが多いです。
下の表は、うつ病の再発率を表したグラフです。


引用:「最新 うつ病治療ハンドブック」

このように、うつ病は一度かかると何度も再発する恐れがあります
場合によっては、一生付き合っていく覚悟も必要な病です。
二次障害が出現する前に、医療機関を受診し、ADHDに向き合える人が増えることを願っています。

大人の発達障害は大変

大人になってから自身の発達障害に気づいた場合、苦労が多いと言われています。
これについて、以前興味深い話を聞きました。
幼少期から発達障害に悩んでいた方の話をうかがう機会がありました。
そのかたが言うには、「大人の発達障害」は

  • 発達障害を受け入れるまでに時間がかかる
  • 支援を受けることに抵抗がある

⇒それに対し、幼少期から発達障害と向き合っている人は支援を受け慣れている
⇒支援を受け慣れているというより、身の回りに支援の情報が溢れている

とのことです。

私も含め、定型発達として大人までたどり着いた人は、自己認識が形成され切っていることや、経験や知識が邪魔をして、発達障害を容易に受け入れられない心の壁ができていることが多いです。

また、発達障害の支援というものが身近に感じられません。
大人の発達障害向けの就労支援制度など、実はかなり充実しています。(詳細はリンクを参照)

幼少期、少なくとも学生時代から診断を受けている人は、支援を受け慣れていることや、アンテナを張るツボを押さえているため、知識も豊富です。
むしろ、アンテナ以前に支援団体から情報がどんどんと送られてくるそうです。
大人になって自身が発達障害であることに気づいた人――特に診断前のグレーの人は、支援制度などの情報が不足していたり、障害を受け入れられなかったりして、有効な支援を受けそびれていることがあるのです。

漠然とした不安は「認知のゆがみ」に由来するものかもしれません

仕事や人間関係のちょっとしたことで、不安になったり、悩んだり、イライラしてしまうのは「認知のゆがみ」によるものかもしれません。

「認知のゆがみ」とは?

同じ状況や出来事に遭遇しても、事実として得られるものは、それぞれの人の認知の仕方によって異なります。
出来事の受け止め方が人によって違うために、それに伴う感情や行動も、時として他人に理解されなかったり、常識外れとされてしまったりすることがあります。
例えば、上司に仕事のミスを指摘された場合、
再発防止策を考えよう」「上司がいてくれてよかった」と前向き捉える人もいれば、
こんなミスしてしまうなんて自分はなんてダメな人間なんだ」と落ち込んだり、
この程度のミスを指摘するなんて、上司は器の小さな人だ」と敵意を持って捉える人もいます。
同じ出来事なのに、捉え方ひとつでこのように気持ちの違いが生まれてしまいます。
認知のゆがみとは、一般的に、同じ出来事に遭遇した際に、歪んだ捉え方をすることで、自分の気持ちが不安になったりイライラしたり、ネガティブなものになることを指します。

「認知のゆがみ」無料診断

認知の仕方には正解がなく、ポジティブなら良いというわけでもありません。
けれども、必要以上にネガティブに受け止めて、その感情を蓄積させてしまっても人生が楽しくありません。
自分自身の認知のクセを知って、コントロールできればベターだと思います。
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参考文献

今回の記事を書くにあたり、参考にした書籍を紹介します。

もし部下が発達障害だったら

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